パリはグランパレにて、クールベ展。
 会期終了間際にレヴューを書くなんぞ美術史学徒の風上にも置けぬやつですが、ちょっとだけ。
 大きなホールにででんと置かれた2大作品《オルナンの埋葬(1849)》と《画家のアトリエ(1855)》は予想通り迫力あった。尤も、美術史ではとても重要なマニフェストとされてるけど、改めて生の作品達を前に、クールベ、やっぱ上手いわー!!と嘆息してからでは、画家のアトリエなんかは色調はややくすんでるし、すごく視覚に訴える作品とは思えなかった。
 ここで「クールベ観てきた」っていったら必ずといっていいほど「で、アレはどうだった?」と聞かれるのは、目玉、《世界の起源(1868)》。一般に展示されるようになったのが、1995年以降、前回の大きな回顧展ではカタログに載らなかったそうだ。今は2008年だけど「みずやそら」はクラシカルなので(お母様がひっくり返ったら困るし)画像を載せることは控えます。この展示のされ方はなかなか洒落ていて、二階の一室が女性のヌードばかりに充てられている、その真ん中に特別な円形の小さな部屋があって、その中に入ると見ることができるというもの。この円形は直径二メートルあるかないか位で、21時を回って人も疎らになってきた頃にこの中で他人と一緒になるとなんとも居心地の悪い気分になる。壁に幾つか覗き穴がついていて、覗くと当時のポルノ写真(だと思う)が見える。このヌードコーナーは、気のせいか暖房が他より効いていて、壁の色調も暖色系でした。