日本にいるときはそれこそ本の中にたまに出てくるだけだった中世美術が身近にたくさんあって、しかも面白い。ギリシャローマの時代にあんなに自然に美化された人間の表現をしていた人間が、千年後くらいに、どういう風に神様とか人間とかをみたらこんな変てこりんな化け物まがいの彫刻や、狂ったような装飾模様を作ってしまうのだろう。左はクリュニー美術館の壁にくっついてた日時計、右はルーヴルのリシュリュー翼地下にある中世コーナー。12世紀に建てられたルーヴル宮の元の建物が復元されている、その隣。静かでちょっと気味が悪くていい感じ。

 次はない、と、思っている。
 例えば今度来たらちゃんとしゃべろうとか、今度来るときまでに勉強しようとか思ってる奴に、今度来る機会なんて与えられるはずがない。というわけで、まあ色々あるけどひとつは、美術館に入るとき、観たものは、少なくとも絵画くらいは、いつかまた何かで出会ったとき、イメージだけで「これは**で観た!」って分かるくらいには覚えることを心がける。「イメージだけで」、というのは「誰の何を何処で見た」という言葉でなくて、絵として。ついでに有名な画家の作品なら、年代までは覚える気合で臨む。ふにゃーっと感動するのは結構簡単だからね。私は、イメージに対する記憶力がそれほど優れてるわけじゃないと思うので(物語が絡むと結構入ってくるけど。程度によるけど写真のように覚えちゃう人っている。「ロベルト・ロンギの目」とこっちで誰かが言ってた。)、これやるとめっちゃ疲れます。でも、そんだけ臨戦態勢でいると、「この作品はこんなにしてみるほどのものか?」みたいな作品はもうなんつうか身体でわかる気がするから不思議。その反対も然り。そして、ぼーっと眺めていた時観ていたものは一体なんだったんだろう、と思うぐらい、楽しくって、興奮する。