さてさて、近郊線で若干一時間でメッスから向かったのはナンシー。

 旧市街中心にあるスタニスラス広場近くに宿を取った。夜は冷え込むけど人が出ている。広場から出る道には金属製の格子の門。金色を利かせたあくまで華やかなロココ様式は、白い石で統一された建築で囲まれた広場にさらに完成された印象を与えている。私の観た中では、プラハとかドレスデンの広場を髣髴とさせるんだけど、共通点は「社会主義」ではなくて「ハプスブルグ」ですので要注意!

 ロレーヌ旅行のタイトルが「美食と美術に触れる」じゃなく「挑む」なのは故のないことではない。夕食はアルザス料理のレストランに入った。毎っ日ビール飲んでそうな立派なお腹のご主人が、入るなりモンドールとかシュークルートとかいう二人以上でしか注文できず、且つ前菜なしのメイン一本料理をお薦めしてくれたのだが…流石にそこまで挑戦出来ずに2コースを。ワインはリースリングにしました。

 ここまで来たからにはフォアグラのテリーヌ。ここのは塩がちょっと効き過ぎの感もあれど、赤ワインのゼリーとよく合って美味しかった。フォアグラって、おっしゃれなレストランではフルーツのコンポートとか洋酒で甘く作って上品にちょこっと出すようなものだと思ってたけど、ここのは何とベーコンで巻いてある!肉を肉として楽しむ、その意気やよし!である。

 私は店主の勧めに負けてマンステールのタルティフィレット。マンステールというのはアルザスのオレンジ色の柔らかめのチーズで、独特の臭気でその名を世界にとどろかせている。実は私は結構好きで、家でフランス風にお客さんを呼ぶ時なんか、チーズを複数買うときはこれも入れるのだけど(妹も大層気に行っていた)ジャガイモの上で溶けて出てくるとまたたまらないです。他のお客さんには申し訳ないけど、美味しい!あ、でも全部は無理っ…

 同行者はレンズ豆のココット…だがレンズ豆はいずこに…。ごろごろのジャガイモとぶっといソーセージの下にちゃんとありました。味見させてもらったところ、豆が野菜であることをうっかり失念しそうなくらい肉の風味が浸み込んでいた。ソーセージも、パリでもあまり出会わないくらい燻製の香りがきつく、まさに闘っている感じでした。
 我々は敢え無く敗退いたしました(=デザートに辿りつけませんでした…そのあとビール飲み直したけどね)。
 夜が明けて、朝のスタニスラス広場ポーランドの王の彫像を市庁舎、オペラ座、美術館、大きなホテルなどが囲む。



 これはおまけ、朝ごはんのコーヒーを飲んだカフェに戻ってきて遅めの昼ごはん。

アンドゥイエットというのは臓物のソーセージなので、あまり上品な食べ物ではないけれど、そういうものに限って、マスタードをたっぷり付けてワインと食べると独特の臭みと食感が病みつきになるもの。熱心なファンが多い。この店では特製のクリーミーで軽めのポテトサラダと炙ったトマトでとても綺麗に作っていた。如何にも観光カフェな場所なのに値段は手ごろでギャルソンも親切。ゲヴュルツシュトラミナーを使ったアルザスの甘い白葡萄酒と共に。
 次回はちゃんと更新出来れば、耐久徒歩*1アールヌーヴォー建築巡り!

*1:誰が何と言おうとA型女子二人組なので、闘うとなると真面目に闘ってしまうのです